2015年1月24日土曜日

宇治紫

冬の晴れ間、宇治田原から宇治を周回しました。

出発はいつもより1時間半遅れ。木津川自転車道からR307へ。今日は一段とダンプが多く、何度かヒヤっとしました。R307の周囲では山がガバッと削られているのを遠望できます。まるで怪獣が山を破壊したみたいですが、何なのでしょうね。新名神の工事だけでもないように思えるのですが。

宇治田原からは宇治川ラインで宇治市内に出ます。只今、天ヶ瀬ダムは工事中で、自転車の通り抜けはできませんでした。行けない事はないのですか「階段ばっかりやからなあ。やめとき!」と警備員のおっちゃんが言ってました。
今日は宇治橋を渡って北上。府道7号線を走ります。初めはきれいなレストランや、宇治茶の名門・伊藤久右衛門本店とかあって(流石にこの恰好じゃ入れん…)「明るくてきれいなところ」と喜んでたのですが、京滋バイパスを越えた辺りから急に2車線の狭い道になり、すり抜ける隙間もないため自転車も一緒に大渋滞。こらあかん と左に見える線路の向こうの平行道に逃げました。すると小さな店の前に大行列。「何なん?」看板見ると「たま木亭」。帰宅後調べたら「京都随一のベーカリー」でした。しまった…と思うものの、あの列には並べんわな と妙に納得。因みにこの辺りの駅は「黄檗(おうばく」と言います。正直、読めませんでした。

「黄檗(おうばく)」は「キハダ」って薬用になる樹木の意味だそうです。また和色名でも「黄檗色:きはだいろ」なんですね。明るいクリームイエローですが、お経の紙はこの色に染めてたそうです。薬用成分の防虫効果があるから。昼間のこの街はまさにこんな色でした。でもやっぱり宇治の色は…。

道はどんどん細くなりながらも地下鉄・六地蔵駅に到達。そして元の府道7号線、相変わらず混んでます。渋滞の隙間縫って走ってると右手に「大善寺」。六地蔵の地名発祥のお寺です。ちょっと入ってみましたが意外に近代的。隅っこの六角堂が唯一「昔はこんなんやったんえ」と言っているようでした。この中にお地蔵様がいらっしゃるのです。「6」と言うのはお地蔵様の数。仏教ロクレンジャーみたいなもんです。

そのまま走ると「伊賀」やら「根来」やら「江戸」やらの地名が出現し硝煙臭い。伏見桃山の外郭に当たるので宇治川から侵入する敵を食い止める為のゾーンだったのでしょうか。そして観月橋到着。ここから先の高架道は自転車禁止なので観月橋を渡りました。名前ほどの風情はありません。超立派な歩道橋みたい。そのまま宇治川沿いの小道に入り、途中から元巨椋池の干拓地を走ってR1バイパスに入りました。上に高速が走っている道ですね。途中の久御山JCTは自転車・歩道もJCTになっていて目が回ります。道は木津川を渡り八幡市・上津屋に出て、木津川自転車道に合流。自転車道はやたら工事中で通行止めが多かったのですが、陽が傾いた16時に帰宅。本日走行81.7km。

宇治橋の袂の紫式部像の横に「源氏物語 宇治十帖 夢浮橋」のあらすじが掲げてあります。高貴な血を受けながら不運だった「浮舟」が最後に自ら心を閉ざす話です。源氏物語最後にして行方が判らない謎のエンディング。結果的にフラれた薫の君の歌も、特に下の句が渋い。

 ”法の師と尋ぬる道をしるべにて思はぬ山に踏み惑ふかな”

薫、浮舟、そして読者の心も定まらない。蓋をされた心に千年を超えて響き続ける紫の声。宇治川の水と織り交ざり永遠に流れるのです。

余韻、これぞ宇治紫の迫力。

宇治橋と紫式部

大善寺六角堂

宇治川の流れ




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